デザイナー・インタビュー
Vol.10

音のデザイナー、AJYSYTZ(アイシッツ)ボーカル

五阿弥 瑠奈 さん

「聴いてくれている人の人生が一番輝くようなサントラを創りたい」

坂本龍一が絶賛したという歌声の持ち主の五阿弥瑠奈さん。数々のCM、映画などの出演実績から、日本中のだれもが無意識のうちに何度も彼女の声を耳にしているはず。イラストや素材も自分でつくるという多彩な彼女の現状についてきいた。

CM、映画、ライブなど幅広くご活躍ですね!

はい、いろいろお声がけいただいて、ありがたくお仕事させてもらっています。TVCMですとJR中央線カネボウコフレドールリセッシュアロマチャージcommなどが代表的でしょうか…。ナレーションや歌唱、サウンドロゴをやらせていただくことが多いです。
映画は「ライフ・イズ・デッド」をはじめ、主題歌やサントラなど10本程携わらせていただきました。昨年はリーダーをつとめているバンドAJYSYTZ(アイシッツ)のライブ活動も増やしましたが、個人としてはドラマやアニメ(「ガンダムビルドファイターズ」が現在放映中)の挿入曲を歌わせていただいたり、尊敬するダンスチームDAZZLEのパフォーマンスに歌唱提供させていただいたり…広がりの多い年でした。

売れっ子ですね!

いえいえ、そんないいものではなく。
今は作曲から、録音・納品まで、ある程度は一人で宅録環境で対応できるので、コストを圧縮できるというメリットがあるのだと思います。もちろん現場へ伺うこともあります。
現場で即興でメロディや歌を付ける事が求められることがありますが、その速さは特徴かもしれません。

不思議な才能ですね。

歌手というのか作曲家というのか…
バンド一筋でやるべきかと思いつつ、CMの仕事をしたりするのは「カッコ悪い」と思う風潮すらありますが、「声」というツールや表現の可能性を探ってみたいという欲求が一番かもしれません。いただいた仕事は胸を張って楽しんでみたいです。

五阿弥さんの壮絶な半生をネットで拝見しました。ご自身ではどう思われていますか?

2007年にかさこさんが「坂本龍一絶賛ボーカリスト・五阿弥瑠奈インタビュー」という記事を執筆してくださったものですね。あの時は、かなり赤裸々にプライベートの奥深いところまでお話して、書いていただいていますので、ありがたく自分のルーツとして受け止めています。私はコンプレクスの塊で、暗いし弱いしネガティブなのは本当です(笑)
今も悩みながらですが、自分を変えていきたいです。

意志の力が強いんですね。

かもしれません。幼いころに書き溜めた夢リストを見返してみたら、一つ一つ殆どかなっていることに気付いたことがありました。
例えば、以前はひどいアレルギーアトピー持ちで。まず何よりも病気をなおすことが夢だったのですが、本を読んで、勉強して、ストレスをなくすためにポジティブ思考にして、(笑)なんとか治りました。映画音楽を創ることやオーケストラと共演することなども一つの夢として捉えていました。

なぜ音楽の道を選ばれたのでしょう?

そうですね、音楽でなくても良かったのかもしれないですが・・・自分が音楽に救われたからでしょうか。覚えているのは、14歳のころ入院していて、点滴を打たれ動けない生活が90日間ぐらいありましたが、その時、誰がそうしたのかわかりませんが、病室にドビュッシーが流れてきて、とても感動したことがあって。自分の心臓の鼓動と、ドビュッシーの音楽とをきいていて。なぜか、懐かしくて。「人生ってこんなに素晴らしいんだ」っていうことと、「人生なんてこんなもんか」っていうのが同時に感覚的に押し寄せたというか。どこかで私も、ドビュッシーのようにとはいかなくても、聴いている人の人生が一番輝くような、聴いてくれてる誰かのためのサントラを創りたいのかもしれません。

若いころはただ自分が苦しいから、衝動的に表現をしていた部分もありましたが、今は聴いてくれる誰かのために作る音楽を目指したいと思えています。

音楽をやっていてよかった事は?

会いたかった人に会えること、人と深い部分で繋がれることでしょうか。高校の時から有田というソウルメイトとずっと一緒に音楽をしています。気付けば彼と出会ってから15年、一度も一緒に音楽を創ることをやめたことはないです。信頼しあってやってこれたというのは、成功以上に価値があることだと知りました。その他にも、一緒に音楽を創っているメンバー達にも本当に恵まれていると思います。
昨年はDAZZLEを主宰する長谷川達也さんにも出会うことができ・・・言い尽くせないですが、みんな音楽をしていなければ出会うことのできない人でした。舞台裏で出会える関係に価値を感じています。

デザインもご自身でやられるそうですね?

イラストを描いたり、画をつくるのとかは好きですし、素材は自分で作ります。そのままフォトショップで入稿することもあれば、メンバーに入稿用データをまとめてもらうこともありますが、、、プリントパックWAVEグラフィックなどは使ったことがあります。

今後やりたいことは?

今はSNSなどでみんなが密につながっているようでいて、実はつながっていないんじゃないかと思っていて、音楽を通してシンクロして、共鳴するような場所を創りたいです。そのためにも、ずっと課題なのですが、大衆性と芸術性の、自分たちなりのバランスを探しています。
昔はもう少し芸術家肌というか「言いたいことは音楽にすべて詰めてある」という感覚で、音楽以外の情報は出さないようにしていました。でも、それだと伝わらないこともある。本当に思っていることしか伝わらないので、人間味をさらけ出して伝えていこうとしています。音楽を聴いてもらうため、橋というか、記号というか、共感出来ることを心がけるようになりました。歌詞をつけることもそう、ネットで情報発信をすることもそう、CMなどバンド以外の活動を公にしていくこともそう・・・。
変わる事は何も怖くない。むしろ変えていかなければいけないし、変わっていきたいです。

五阿弥さんへのご相談はこちらから

氏名

五阿弥 瑠奈

連絡先

i_know_u@ajysytz.eek.jp

運営者のコメント

「印刷は通販しか使ったことありません。通販じゃない印刷があるんですか?」という衝撃的な一言からお願いした取材でしたが、実はすごい人でお話をきいてびっくり。多才で、聡明で、壊れてしまいそうなほど弱くて、その弱さを克服するぐらい強い。とても透明感のある魅力的な方でした。

2014年01月26日

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