全候補者がプリントパックに直接入稿したとしたら?

2024年衆院選を巡り、維新・藤田氏に対して 「なぜプリントパックに直接入稿しなかったのか」という質問がありました。(しんぶん赤旗より)

印刷通販を使った事のある方は、「面白いことを言うな」と思われたことでしょう。

確かに、今やデザインもオンラインでできる時代。議員が自身でデザイン・入稿作業をするのもセンスやITスキルが有権者にダイレクトに伝わるという意味ではありかもしれません。「政治家としての仕事をする時間がなくなる」というのはさておいて、ですが。

さて、今回は全候補者が自身で直接印刷通販に入稿したら、税金は節約になるの?というところを検証してみたいと思います。


令和8年 衆議院選挙(東京都)ポスター公費負担限度額

東京都のポスター印刷公費(税金)負担の上限額は、以下の計算式で計算されます。

ポスター掲示場の数が500以下の場合

単価×作成枚数
単価:{586円88銭×ポスター掲示場数+316,250円}÷ポスター掲示場数
※ 作成枚数はポスター掲示場数×2以内

ポスター掲示場の数が500を超える場合

単価×作成枚数
単価:{293,440円+30円73銭×(ポスター掲示場-500)+316,250円}÷ポスター掲示場数
※ 作成枚数はポスター掲示場数×2以内
東京都令和8年執行衆議院(小選挙区選出)議員選挙 公費負担経費請求の手引より)

東京都で一番掲示場の少ない9区、多い25区、そしてきっかり400か所の4区の単価や上限額を調べてみました。


選挙区 掲示場数 単価(円) 作成枚数上限 公費負担限度額(円)
第4区 400 1,378 800 1,102,400
第9区 270 1,759 540 949,860
第25区 831 746 1,662 1,239,852

※出典:東京都選挙管理委員会 令和8年執行衆議院議員選挙「ポスター公費負担限度額一覧」より

プリントパック価格の10~20倍使われている印刷費

政令で定める、ポスターを公費負担で制作できる枚数は、掲示場数の2倍です。破れた時に貼りなおしたり、掲示場以外の場所に貼ったりできるようにでしょうか。ここでは価格比較のために上限枚数の端数を切り捨てて印刷したと想定して、プリントパックの価格と政令の上限価格を比べてみます。

条件は、雨に濡れても破れにくいユポタック紙を使用し、貼りやすいように裏面がシールになっているタイプを選択。短期決戦の選挙なので耐候性インキではなく通常インキを使用と仮定。

<条件>
サイズ:選挙用(420x300mm)
用紙:ユポタック110kg
インキ:通常インキ 
納期:4営業日

選挙区 ポスター枚数 公費単価(円) 公費負担限度額(円) プリントパック価格
第4区 800 1,378 1,102,400 66,420
第9区 500 1,759 879,500 42,010
第25区 1600 746 1,193,600 111,990円

※税込※2026年2月1日時点のキャンペーン価格で計算

並べてびっくり、政令の定める印刷費公費負担の上限額は、プリントパックの10倍~20倍であることが判明しました。

公費負担上限額はプリントパックの…
東京第4区 約16.6倍
東京第9区 約20.9倍
東京第25区 約10.7倍

プリントパックに直接入稿しろ!批判を考える

このように、候補者がプリントパックに自身で直接入稿するならば、政令の定める印刷費の0.5~1割の税金で済むことになります。ただこれは現実的ではないように思います。政令で「印刷費〇〇円まで公費で支給します」と言われれば、デザインにお金をかけたり、高級感のある紙を使ったり、納期を極限まで短くしたりと上限まで使ってしまうのが普通の感覚ではないでしょうか。

有権者としては、政治に関する印刷物の相場は印刷通販価格の10~20倍になることもあるのだと理解してニュースを見るようにしたいと思いました。