デザイナー・インタビュー
Vol.7

フリーランス・グラフィックデザイナー、MoEdesign

上野 藍 さん

「デザインは全てに通じる」―接する、感じる、得に行く。温度感に満ちた信念。

もともと物を描くことが好きだったという上野藍さんは、スキルとひらめきのバランス感覚を併せ持つ。グラフィック・カメラ・ブランディング・アドバイザー等、多様な仕事をこなしながらも、自分の足で体験することに重きを置く行動的なデザイナーの秘密とは・・・。デザイン会社で積んだ知識や技術を駆使しながら、未開拓の領域にも正面から向かい合い、体験して腑に落とすという徹底ぶりが窺えた。事業を一任されるほどの実力の上に、確かな感性と人間力が光る。

デザイン事務所ご勤務から、最近フリーランスに?

そうなんです。7月の頭に独立しようと決断後、8月一杯で退職していました。
数ヶ月前の話ですね。

とてもタイトなスケジュールでの変化ですね。

本当にタイトですよね。実は元々、務めていたデザイン事務所から事業継承の話を受け、半年間くらい悩んでいた時期がありました。専門的なことを勉強したり、信頼するメンターに相談する中で、本当にやりたいことやビジョンについて考え出しました。そこで、まずは自分のデザインの幅を広げ、掘り下げたいと思い至ったんです。

今のお仕事のスタイルは?

ほとんどが知り合いの方、またその繋がりから広がり、お仕事を頂いています。
グラフィックデザインをメインでやっているのですが、偏ることなくweb制作のお仕事等も頂いています。
会社に属していると、デザインだけしていればいいというスタイルに陥りがちでしたが、今まで見えていなかったものが沢山見えてきています。今が今年一番吸収し、やりがいを感じていますね。フリーランスにはいわゆる経理の知識や人間関係も必要です。足りないことだらけだと感じたんです。独立するにあたって社会のあり方などを考えた時に、個人のスキルや思考の強みを持っていないと感じたんですね。それを発見できる機会がありがたく、楽
しいですね。

やりがいを感じたり、得意とする仕事は何ですか?

uenoai3webも面白いのですが、知育的なものに興味があるんです。例えば小さな子供は幼い時に手でつかみ、身体で物を確かめていく。
元々人には、指ざわりやちょっとした厚さ、重み・・・それを捉える手の才能、可能性ってあると思うんですね。液晶やタブレットなどコンピューターが普及していく中で、今の子供に活版印刷を渡したら、ぬくもりだったり、ページをめくる楽しさだったり、必ず感動する子供がいると思います。

電子書籍が悪いというわけではないのですが、結局「繊細なものに指が触れる」というのは脳への刺激になります。これは年齢は関係ないと思っていて、そのぬくもりや温度感を無くしてはならないと感じています。
得意な分野は、そうですね・・・アラサー世代の女性層の感性には鋭いかもしれません。

印刷通販は使いますか?

はい、よく使います。クオリティやトラブル対処に関しても満足出来るところが増えてきています。スーパープリントは名刺の種類が豊富なので重宝していますし、グラフィックもよく使います。コスト面や紙の種類を重視しながら、その都度内容に合ったところを使わせて頂いていますね。

印刷通販への不満や要望はありますか?

そうですね…テストプリントがあったら嬉しいですね!
そういったサービスもあるんですが、納期や日数を考えると現実的ではなかったりもするので、それが一般的になったら嬉しいなあ、と思っています。やはり早めに実物を確かめたい。印刷機の調子によって色味は多少変わるので、ある程度仕方が無いと思っているんですが、自分が意図して作ったものを、人よりはやく見たい欲求があります。

知覚的な喜びや感覚からの発想は、お仕事をされていく中で感じたことですか?

もちろん色々な人と話す中でも発見はありますが、自分で気付いたことの方が重要だと思っているんですね。本で読んだり人から聞いたことを本当の意味で納得する、腑に落ちた瞬間じゃないとデザイン的にも自分のものになっていないような気がして。点と点が繋がって線になり「これだ!」と思う瞬間、脳の中で快楽物質が出るような喜びを感じますが、それがデザインの原動力かもしれません。

9年前、デザイナーとして働き出した頃飼い始めたアイリッシュセッターの犬がいるんですが、動物って人間を見るじゃないですか。その時に自分がどれだけ真剣なのか読まれてしまうんですね。その子と接する中での経験が一番大きいかもしれません。その経験がなかったら今の自分はないかもしれないです。

人生を決めてしまうくらいの相棒だったんですね!

そうですね。仕事関係でも人間関係でも同じだと思ったんです。
接し方やタイミング。「ちゃんと向き合って伝えなきゃ、分からないんだな」という当たり前のこと、その奥深さを思い知りました。
だからこそ、相手がありそれに応えていくというデザインの仕事に惹かれたのだと思います。

ご自身の中で印象深かった仕事は?

経験やスキルをもってしても表現が難しかった内容のものでしょうか。
ストレッチの器具を作られている会社さんからマラソンやランニングのセミナーに関するチラシのお仕事を頂いたのですが、私自身その分野の知識は全く無くて。実際にスポーツジムに通いましたね。

一つ一つに心を込めて向きあっていくその姿勢の中で、挫折はありませんでしたか?

uenoai4もちろんありましたね。
完璧主義というわけではないと思うのですけれど、昔から、デザインの度に壁を感じるんですね、自分の未熟さを。経験を繰り返すことで耐性がついてきたと感じます。とはいえハードルは高すぎると良くないので、ある程度実現可能な、手が届きそうな目標を設定しています。何もない所から具現化していく中で、打ち合わせは出来れば一対一で、顔を合わせて話すというこだわりがあるかもしれません。言葉のニュアンスだったり、会うことでしか感じ取れないことがあると思うんですが、それをしっかりと掴まないと、自信が持てないんですよね(笑)。
本当に、人ありきです。

今後やってみたい仕事は?

生活に寄り添ったものですかね。衣食住・社会に関わるもの。自分の等身大の欲求に応えながら、人からの刺激も受け続けて行きたいです。デザインの考え方って全てに通じると思っていて。料理で言えば、様々の材料があり、調理法があり、完成のおいしそうなイメージがある…それを俯瞰して調理できるのがデザインの面白さであり、良さかなと思いました。そこからプロデュースまでしたいのがこれからのフェーズですね。

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上野藍

社名

MoEdesign

所在地

神奈川県大和市

氏名

上野 藍

連絡先

ai.ueno566(アットマーク)gmail.com

運営者のコメント

しなやかさと芯の強さを併せ持つ、穏やかながら吸引力のあるデザイナーさんで、インタビューをしながらその誠実さに何度も胸を打たれました。経験一つ一つに向き合い磨かれたフィルターで、感性豊かなデザインを生み出す稀有な方だとお見受けしました。お仕事の着実さも間違いありません。今が一番面白いと言う彼女の手が生み出すものに、今後大注目です!(取材:五阿弥瑠奈)

2013年12月12日

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