オフセット印刷のフロー
オフセット印刷のフロー
入稿
印刷用に作成されたデータ、または製版で撮影する元になる原稿を 印刷会社に受け渡すことです。
最近は印刷業に携わっていないいないひとでも簡単に印刷用データを作成することが可能になり、入稿用データの作成はハードルが低いものになりました。
これにより、データ入稿による“印刷通販”のような形態の印刷会社が普及することになりました。
データチェック・印刷用にデータを変換
世間に出回っているマイクロソフトワード・エクセル等のデータは直接印刷できません。
正確にいうと印刷用のフィルム・CTP版(印刷用のアルミの板)を作成できません。
そのため、印刷できる形式に変換する作業が発生します。
専用のソフトでPDF等に変換してから作業を進めますが、やりかたによってはページの体裁がくずれてしまったり、書体が変わってしまったりとトラブルが発生してしますので、重要な作業です。
また、印刷用のデータ作成に適したソフトであるイラストレータやインデザインなどで作成されたデータであっても、作り方によっては製版時にトラブルが発生してしまうので、その後の工程が正しく進むようにチェックして、場合によっては修正を行います。
製版
この言葉は意味が大きすぎるので、ここでは印刷機に掛ける版の作成という意味で使用します。用意しておいたデータをフィルムセッター・CTPに送り、フィルムやCTP版(印刷用のアルミの板)を出力します。(両方とも家庭用のプリンタのお化けだと思ってもらえばいいです。流すデータが限られているのと、出てくるものが紙ではなくフィルムやCTP版(印刷用のアルミの板)という違いがあるだけです。機械の値段は宝くじの一等クラス当てないと買えないようなシロモノですが。
刷版(さっぱんと読みます)作成
印刷用の版を作成する作業です。版画と同じで、オフセット印刷を行うにはもとになる版(刷版)が必要です。基本的には表面が加工してあるアルミの板にフィルムを密着させ、紫外線を露光することによって作成します。これによって、アルミ板の表面に水が乗りやすい部分と油が乗りやすい部分を作り、油が乗りやすい部分にはインクが付着。これを紙に転写することにより印刷を行います。最近はCTP(コンピュータ トゥー プレート)という機械が普及されて、フィルムがなくてもデータを送れば直接露光して刷版を作成することが可能になりました。刷版のサイズは印刷機のサイズに合わせなければならず、小さい物から大きなものまで様々存在し、それぞれの金額も異なっています。
印刷
作成した刷版を印刷機に付けて印刷します。1色につき1版使用します。(カラー印刷では4色使用します。印刷機にはサイズ(A3くらいのサイズ~B1くらいのサイズまで)・同時に印刷できる色数(1色~10色くらいまで)などにより様々な種類があります。当然その印刷機によって準備・印刷・セット変更の労力がことなります。
印刷機はメーカーの違いなどにより詳細は様々ですが、超高速で動きつつ0.01ミリ単位の精度が求められる機械なので、とても高価です。
中くらいのサイズの4色(カラー)印刷機でも、都心の新築マンションが買えるくらいの値段はします…。
製本・加工
刷り上った状態の印刷物を加工していきます。断裁機・折機・丁合機(印刷したものをページごとに重ねていく機械)・綴じ機等がありますが、それぞれ印刷機のサイズに会わせた大きさがそろっています。
通常オフセット印刷を行う際には、仕上げサイズより大きい用紙に印刷しておいてから断裁して仕上げをする場合が大半です。(なかには例外もありますが)ですので、簡単そうなものでも必ず加工の工程が入り、より美しい状態で品物を納品できるようにしています。
梱包発送
忘れがちなのが、梱包の手間です。製本・加工して出来た製品を裸でおくることはできませんので、クラフト紙で梱包したり、箱に入れたりして発送します。当然費用が発生します。
以上がだいたいのオフセット印刷のフローになります。基本的にオフセット印刷は同じものを大量に印刷するための手法なので、極小の部数には向いていません。そこで登場するのが昨今普及してきたオンデマンド印刷です。
オンデマンド印刷とは、一言で言うとプリンタで出力するということです。(といっても業務用の巨大なものですが)基本的には、家庭用のプリンタと同じで、パソコンからデータを流して直接出力します。オフセット印刷のように刷版が必要ないのでその分お得ですが、部数が大量になると逆に金額が高くなってしまいます。