著作権侵害に気をつけて!<画像生成AIと印刷>
最終更新日: 2024年11月23日
画像生成AIで描いた画像を印刷物に使いたいけれど、著作権は大丈夫かな?と不安になる方も多いと思います。
実際、AIが生成した画像に関して訴訟が起こるケースも増えており、適切な利用が求められています。この記事では、代表的な画像生成AIツールに焦点を当て、それぞれの利用時に注意すべきポイントや、著作権侵害を避けるための方法について解説します。
<画像生成AIと印刷>シリーズ
実際の訴訟事例
世界に目を向ければ、画像生成AIを巡る著作権訴訟は実際に起こっています。たとえば、Midjourneyを使って生成された作品が、既存のアーティストの作品に酷似していたとして訴訟が提起されました。このケースでは、AIが学習する際に利用したデータが、元となる著作物の著作権を侵害している可能性があるとして争われました。
また日本国内でも、AIを使って描かれた画像は著作権を侵害している可能性を排除できないとして、商品化したものが販売停止に追い込まれたり、商品化を断念するなどの事例が出ています。
著作権に関する問題
著作権とは知的財産権の中の代表的な権利で、芸術作品などを創作した人が有するもので、作品がどう使われるか決めることができる権利です。
AIは過去に人によって描かれた作品を参考に学習していることがあります。そのためAIが生成した作品が、既にある著作物を真似して作られたり、再現したりした場合には、元の作品を作った人の著作権を侵害している可能性があります。
また一方では、画像生成AIが作成した画像について、誰が著作権を持つのかという問題もあります。著作権法では、通常、コンテンツを作成した人が著作権を有するとされていますが、生成AI自体は「人」ではないため、このような問題が生じるのです。この点に関しては、一般的にAIを使用した人やAIの開発者・提供者に何らかの権利を認めることが議論されていますが、まだ明確なルールはありません。
著作権侵害を避けるためのアイディア
著作権侵害を避けるためには、以下の対策が有効です。
- 1.Googleレンズでの類似画像検索:生成した画像が既存の著作物に似ていないかを確認するために、Googleレンズを活用して類似画像を検索する方法があります。これにより、意図せず他者の作品を模倣してしまった場合に気づくことができます。
- 2. パブリックドメイン素材の活用:パブリックドメインの素材や、ライセンスが明確に付与された素材を使うことで、著作権侵害のリスクを減らすことができます。
- 3. オリジナル性を高める指示を出す:AIに対して、オリジナル性の高い指示を出すことで、既存の作品に似た画像が生成されるリスクを低減できます。たとえば、特定のスタイルやコンセプトを指定せず、より抽象的な指示を出すことが推奨されます。
代表的な画像生成AIと著作権リスク
DALL-E
DALL-Eは、自然言語の指示に従って高品質な画像を生成するAIで、特に独創的なイメージ作成が得意です。
DALL-Eの生成する画像は、ユーザーの指示に基づいていますが、AIが学習した元となるデータに著作権が存在する可能性があります。OpenAIは商用利用を許可していますが、もし生成された画像が既存の作品に類似している場合、著作権侵害を指摘されるリスクはありますので注意する必要があります。
Midjourney
Midjourneyは、幻想的でアート的なスタイルの画像生成に強みを持っています。アーティストやデザイナーが使いやすいプラットフォームで、芸術的な画像が得意です。
Midjourneyもまた、AIが学習したデータに依存しています。生成された作品が著名なアーティストのスタイルや既存のアート作品に似てしまうことがあり、その場合、著作権侵害のリスクが発生します。実際、Midjourneyの生成画像をめぐって著作権侵害の訴訟が起こった事例もあります。
Midjourneyは商用利用を認めていますが、生成画像がオリジナルであるかどうかは最終的にユーザーの責任となります。私的利用ではリスクは低いものの、公開した場合に問題となる可能性がゼロではありません。
Adobe Firefly
Adobe Fireflyは、商用利用にも配慮された画像生成AIです。AdobeはFireflyの利用者に対し、著作権問題を最小限に抑えるためのデータセットを使用しているとしています。それは著作権が切れた画像や使用許諾を得ている画像などです。このことから絶対的な保証はないものの、Adobe Fireflyが最も訴訟リスクの低い画像生成AIのうちの一つであることは確かだと思われます。
Stable Diffusion
Stable Diffusionは、オープンソースとして提供されており、誰でも利用できることが特徴です。自由度が高く、クリエイターや研究者に人気がありますが、学習データの透明性が低く、著作権侵害のリスクが他のAIよりも高いとされています。
Stable Diffusionはオープンソースであるため、ユーザーが自ら設定をカスタマイズして利用できますが、その分、AIが学習する元データの管理が緩く、著作権侵害のリスクが高いとされています。実際、Stable Diffusionを使った画像生成に関する訴訟も起きています。
商用利用時には、生成された画像の著作権リスクが高いため、特に慎重な確認が必要です。私的利用であっても、公開や配布をする際には著作権に関する十分な注意が求められます。
Canva
Canvaは日本でも非常に人気のあるグラフィックデザインツールであり、ツールの中に画像生成AIの機能も備えています。Canvaの利用規約によると、ユーザーはCanvaのAIツールで作成した画像を商用および私用の両方で自由に利用できるとされていますが、これはCanvaが作成するすべての画像の著作権をクリアしていることを証明するものではありません。他者の著作権を侵害するような生成物が生じた場合は、利用者が責任を負う可能性があるため、内容の慎重な確認が求められます。
まとめ
AI生成画像は違法性だけではなく「社会的にどう受け止められるか」も考慮する必要がありそうです。AIを使っていても使っていなくても、画像を作成する際にリスクをゼロにすることは難しいことです。リスクをゼロにできないとしても、リスクを減らすことで対策していけたら良いのではと思います。