先に「個人でも手軽なノベルティはいかが? その②」でご紹介したクリアファイル同様に、個人のクリエイターのノベルティとして気軽に利用できるのがシール印刷です。

芸術の秋、デザイナーやイラストレーターの方の中ならご自分の作品を個展やグループ展で手頃な価格で販売してみたい! 音楽の秋、ミュージシャンならライブの物販でちょっとしたグッズを販売してみたい! そんな時の販売グッズやプレゼントとして、マルチプリントのシールはうってつけではないでしょうか?

マルチプリントとは2つ以上のデザインのシールを一つのシートにまとめたものです。Illustratorを使ってシールの形のパスを作成できれば、四角や丸などの簡単な形から複雑な輪郭を持つものまで気軽に印刷することができます。

今回はハガキ大のA6サイズに、最大15のハーフカット(シールを切り抜くための加工のこと)を使ったものを、個人には気楽な100部印刷した場合で比較してみました。

※条件は以下の通り
●マルチシール印刷(A6)
出荷日:5営業日以内発送、部数:100部、カラー:片面4C、ハーフカット:15点
用紙は会社によって異なります。

価格的に一番お得なのはウェーブ

今回上の条件で本サイトの中から印刷加工が可能な会社を選び、価格を比較してみると、以下の3社が価格的に有利でした(8月15日現在)。

ウェーブ:8,670円(印刷方法:レーザープリンタ、用紙:スーパーキャストタック)
グラフィック:15,100円(印刷方法:オンデマンド、用紙:アート紙シール)
プリントネット:17,280円(印刷方法:オンデマンド、用紙:白塩ビ)

多くの会社が上の条件の場合2万円前後の価格帯に位置するところ、ウェーブは群を抜いて安価でした。しかしながら、他の多くの会社がオンデマンド印刷を利用しているところ、ウェーブはレーザープリンタによる印刷です。一般的にレーザープリンタはオンデマンド印刷より耐久性がやや劣るので、よく手に触れたり擦ったりなど、外からの力が掛かる場所に貼る目的の場合は慎重な選択した方がいいでしょう。用紙はスーパーキャストタックという、強い光沢性と色再現性のある用紙なので、安いながらも色などの表現は信頼できそうです。

“出典:https://www.wave-inc.co.jp/products/sticker.html#areaMSdetail“

グラフィックは用紙などの選択が豊富、耐久性と耐候性を求めるならばプリントネット

グラフィックは今回アート紙シールという、スーパーキャストタックに比較的見た目や印刷結果が近い用紙で見積ってみました。これ以外にも、耐久性・耐候性のあるPETシールや和紙を使ったシールなど、多彩な用紙が準備されているのが魅力です。

“出典:http://www.graphic.jp/price/1554/“

ちなみにグラフィックに価格面で続いたのがプリントネットで、こちらはPETと同様に耐久性・耐候性のある白塩ビでの見積りで17,280円でした。グラフィックでPETを使用した場合、17,540円の見積りとなるので、屋外のものに貼るなど耐久性と耐候性を求める場合には、プリントネットがややお得かもしれません。

“出典:http://odahara.jp/omitumori/seal/“

前回のクリアファイル印刷と同様に、今回のシールもまた価格の差と印刷や用紙の違いとの関係が密接な商品であることが分かりました。価格で選ぶのか、室内で使ってもらうのか、室外で使ってもらうのかによって、上手に会社を選ぶといいのではないでしょうか。また、今回はA6のマルチシールという条件で比較しましたが、サイズが違ったり、ハーフカットを要しないシングルシールの場合ではこの結果も変わってくる場合がありますので、本サイトを上手に利用して別の条件でも比較してみて下さい。

ちなみにシールと同様の意味に使われる言葉にステッカーがありますが、印刷通販の多くではシールを主に室内用途のもの、ステッカーを例えば店鋪のガラスなどに貼る室外用途のものとして区別して使う場合が多いようです。

ハーフカットを要するシール・ステッカー印刷は、抜き版データが必要です

最後に、シール・ステッカー印刷発注の際の注意を。

上で紹介した仕様のように、絵柄に沿ったハーフカットを要するシール・ステッカーの場合、ハーフカットの形を指定するためのパスデータを自分で用意する必要があります。この場合、多くの印刷会社ではIllustaratorでの入稿を推奨しており、4Cのレイアウトのレイヤーとは別に、ハーフカット用のレイヤーに別途パスデータを作成する場合が多いようです。これを忘れるとデータチェックではねられて余計な時間を要することになりますす。こちらの仕様に関しては、各社のテンプレート内の説明や、データ作成マニュアルでしっかりと確認して、間違いのないデータを作成するように気をつけましょう。この点は前回のクリアファイル印刷の白インキ版作成とほぼ同じですね。

また、ハーフカットの数(上の例では15)は、シールの外側のカットだけではありません。例えばドーナツのように内側をくりぬきたい場合には、外側のハーフカットと内側のハーフカットを要するのです。なのでハーフカット数の上限=シールの数ではないので、こちらにも注意して下さい!

(執筆者:will be will be ヤナギダヒロユキ)