デザイナー
デザイナー
アメリカ留学中に図書館でヤン・チヒョルトの本に出会い、タイポグラフィの美しさに「これだ!」と衝撃を受けたという澤本さん。それから約10年、日本とアメリカの架け橋となり、デザインの仕事を通じ文字の魅力を伝えている。
幼少の頃から、祖母たちの影響か、物作りに興味をもっていました。
母方の祖母は水彩画や俳句をたしなむ人であり、本を出したり新聞に掲載されたりしていました。
父方の祖母は日本人形を作ったり、布花を作ったりしていました。布に染色するところからです。
両親が共働きだったため、祖母達と触れ合う機会が多かったです。
中学生の時に初めての海外旅行でドイツを訪れ、風景、建物、人々、食べ物等、見るもの全てが物珍しく感じられました。異文化に触れて以来、日本をいつか飛び出したいという希望があったのでしょうね。高校生の頃に北米でのホームステイを何度か体験し、現地の同世代と交流することで、音楽やファッション、映画など、ますます海外、特にアメリカの文化に興味を持つようになりました。それで大学でもアメリカ文化研究を専攻することになったと。。。
実は高校卒業と同時にアメリカに留学したかったのですが、母より「何を学びにアメリカに行くのか」と問われてまだその答えが準備できていなかった。かつ日本の大学を卒業してもその思いが変わらなければ行きなさいと。
それで日本の大学でアメリカ文化(歴史/女性史/文学諸々)を学ぶ傍ら、情報処理のクラスでウェブデザインの先駆け的なものを学び、デザインという職業があることを初めて知りました。当時はアメリカが先端だったので、せっかく学ぶならベストなものを!と、かねてからの夢でもあったアメリカの美大への留学を果たすことになったのです。
まあ、半分はやっぱり留学したかった、海外で生活をしてみたかったというのが正直ありますが。デザインという指標を日本の大学生活の中で見つけたのは事実ですね。
美大の図書館でヤン・チヒョルトのタイポグラフィに出会って、イラストも写真もなく、文字のみでレイアウトが構成されているのにもかかわらず、そのデザインの完成度の高さ、全てを削ぎ落としたシンプルな美しさ、独自の世界観に衝撃を受けました。ちょうど自分のデザイン、自分の表現を探していた時期だったので「これだ!」と思いました。
それから現在に至るまで、文字街道をまっしぐらです。
例えばグローバル展開をしている企業さんですとブランディング上、英語と日本語の製作物でイメージがずれてはいけません。徹底した統一感が求められます。同じ空気感、同じイメージを、違う言語で表現しなくてはならない。それはもう無数にあるフォント、文字組み、大きさ、色、余白の可能性の掛け合わせなのですが、それを細かく合わせていきます。元々アメリカの大学で本や雑誌のタイプセッティングの仕事をしていたので、欧文の方が得意なのですが、最近は和文の文字組みにも興味がでてきました。
いい文字組みとは、文字を気にせずスラスラ読めるものです。書体や文字組みで違和感を持たれたら内容が伝わりません。
デザインは今まで通り続けていきます。特に文字にこだわるもの、英語が必要なもの、飲食や健康に関するデザインなど。同時に、机を離れて人と会う活動を増やしていきます。各方面の面白い人とつながりができているので、私はデザインや英語というものを軸にしながら、皆さんとコラボレーションしてワークショップ、イベントを企画しています。
趣味と実益を兼ねて「文字好きによる文字好きのための文字ツアー」も企画中。ヨーロッパには文字の美術館がいくつもあるので、そういうところを巡ったり、街中の素晴らしい文字を見たり、タイプファウンダリーや活版、デザインスタジオを訪問したり。貪欲に、自分の好奇心に正直に活動をしていきます。
所在地
:
東京都
氏名
:
澤本 佑子
連絡先
:
yko_s78(あっと)yahoo.com ※(あっと)は@に置き換えてください
運営者のコメント
最初お会いしてしばらくは普通の方だと思ったのですが、1時間も話をしているうちに「この人は妖精にちがいない!」と思えてきました。チョコチョコ活発に動き、好奇心旺盛で、イタズラで。そして深い文字愛に脱帽です。
2015年05月07日