商用利用と私的利用<画像生成AIと印刷>
画像生成AIを使うとき、「その画像生成AIは商用利用を許可しているか確認しましょう」と注意されたことはありませんか?
画像生成AIで作った画像を印刷する、をテーマにお送りする<画像生成AIと印刷>。
今、使おうとしている画像の用途が「商用利用」なのか「私的利用」なのかによって、法的な問題や利用ルールが変わることがあります。今回は”商用利用と私的利用”について考察してみたいと思います。
商用利用と私的利用の違い
まず、商用利用と私的利用の違いについて。
“私的利用”とは、自分や家族、友人などのごく限られた範囲で楽しむために画像を使うことです。例えば、旅行の思い出をアルバムにまとめるために画像をプリントする、友人へのバースデーカードにAI生成画像を使うといった場合が該当します。このような利用は基本的に収益を目的としないため、法律的なリスクは少なくなります。
一方、”商用利用”とは、ビジネスや収益を目的として画像を使用することです。例えば、企業の広告やパンフレットに画像を使ったり、生成した画像を商品にプリントして販売したりする場合が該当します。このようなケースでは、特に著作権に関する規則を守る必要があります。商用利用にあたる場合、利用規約をしっかりと確認し、必要に応じてライセンス料を支払うことが求められる場合があります。
商用利用にあたる印刷物、私的利用にあたる印刷物
それでは、具体的にどのような印刷物が商用利用に該当し、どのようなものが私的利用に該当するかを見てみましょう。
商用利用にあたる印刷物
– 企業や店舗で使用するポスター、チラシ、広告バナー
– 商品パッケージやラベルに使うデザイン
– Tシャツやカレンダーなど、販売を目的とした商品に使う画像
– ブログやSNSの投稿で、広告収入を得るためのビジュアル素材
– 書籍や雑誌、商業ウェブサイトに掲載する画像
私的利用にあたる印刷物
– 個人の趣味やインテリアとして使うポスターやアート作品
– 家族や友人に贈る写真アルバムやカード
– 自宅で楽しむためのカレンダーやグリーティングカード
– 個人のSNSやブログで、収益化を目的としない投稿に使う画像
商用利用と私的利用の法的リスクの違い
商用利用と私的利用では、特に”著作権”に関するリスクが大きく異なります。画像生成AIが生成する画像には、そのAIの開発元や第三者の著作権が関係する場合があります。
– 私的利用の場合:個人的な範囲で楽しむだけであれば、著作権侵害のリスクは比較的少ないです。ただし、生成した画像をネット上に公開する際は、AIが他者の著作物を元に生成したものでないか、注意が必要です。
– 商用利用の場合:商用利用では、他人の著作権を侵害していないかが非常に重要です。例えば、AIが生成した画像が既存のアートや写真を元にしている場合、元の作品の著作権を侵害している可能性があります。商用利用する際には、使用しているAIが生成した画像の商用利用を許可しているかを確認し、必要なライセンスを取得しているかどうかも確かめなければなりません。
主要な画像生成AIの商用利用可否
各AIツールごとに、商用利用の可否が異なります。ここでは、代表的な画像生成AIについて、その商用利用ポリシーを紹介します。
Midjourney
Midjourneyは、商用利用を許可しています。利用には有料サブスクリプションが必要です。無料プランでは商用利用が制限されています。有料プランを使用する場合でも、Midjourneyのクレジットを記載することが求められる場合があります。
DALL·E(OpenAI)
DALL·Eも商用利用が可能ですが、商用利用のためには有料サブスクリプションが必要な場合があります。無料プランで生成された画像も商用利用が許可されていますが、適切なクレジットを記載するなど利用規約に基づいた利用が必要です。
Stable Diffusion
Stable Diffusionは、オープンソースプロジェクトであり、商用利用も可能です。ただし、利用する画像やモデルが第三者の著作権を侵害していないかを利用者自身が確認する必要があります。Stable Diffusionを利用して生成した画像を商用利用する際は、規定に基づいてクレジット表記を行うことが推奨されています。
Adobe Firefly
Adobe Fireflyは商用利用を前提に設計されています。Adobeのクリエイティブクラウドと連携し、プロフェッショナル向けのツールを提供しているため、商用利用も許可されています。安全性が高いとはいえ、100%の保証ではないため、生成された画像が他者の著作物を侵害していないか、やはり利用者側での確認は必要です。
Canva
Canvaも、商用利用が可能な画像生成ツールを提供しています。ただし、Canva内で提供される一部の素材や画像には、特定のライセンスが必要な場合があります。また、商用利用する際には生成された画像が他者の著作物を侵害していないか利用者側で確認が必要です。
まとめ
何か行動をするにあたり、それが「確実に、絶対に違法性はない」と証明するのは実は難しいことです。AIを利用してもしなくても、どこかで誰かの権利を侵害している可能性はゼロではありません。肝心なのは、リスクをゼロにすることではなくリスクを極力減らす努力をすることではないでしょうか。
リスクを減らす努力は怠りなくしつつ、画像生成AIや印刷という文化をぜひ楽しんでください。