生成AIを活用した画像作成が大きな注目を集めています。その中でも「Midjourney」は、直感的な操作と高品質なビジュアル生成で、多くのクリエイターに利用されています。Midjourneyは、抽象画やコンセプトアート、デザインイメージなど幅広いスタイルの画像を素早く生成できるのが特徴です。

今回は、Midjourneyで作成したデジタルアートを印刷通販サービスを利用して、自宅に余っていたIKEAの額にぴったりのサイズで印刷してみようと思います。

この記事では、Chat GPTを活用してMidjourney用のプロンプトを作成する工夫や、生成した画像のサイズ調整方法、そして実際に印刷通販で印刷するプロセスについて詳しく解説します。

Midjourneyでデジタルアートを作成する

Midjourneyでのアート作成方法

Midjourneyは、ユーザーがプロンプト(AIへの指示)を入力することで、AIがその指示に基づいて画像を生成するツールです。アートだけでなく、デザインやイラスト、プロダクトのビジュアルなど、さまざまなスタイルのビジュアルコンテンツを作成できます。

Midjourneyでは、英語でプロンプトを書くのがスタンダードで、上手くいくケースが多いのですが、私は英語が苦手なので、今回はChat GPTを活用して、理想のアートを実現するためのプロンプトを作成していこうと思います。自宅にあったIKEAの額に合うアートを作成するため、額のサイズ(写真の内側の部分)は300mmの正方形ですが、上手にはめ込むために少し余裕を持たせて320mmの正方形でアートを作成することにしました。

自宅に余っていたIKEAの額

Chat GPTでプロンプトを書いてみる

Midjourneyで希望通りの作品を作成するためには、プロンプトの内容が非常に重要です。まず、Chat GPTに「Midjourneyに素敵な抽象画アートを作成してもらいたいです。プロンプトを考えてください。先頭に『/imagine prompt:』を付けてください。」と依頼しました。Midjourneyでは、画像作成の際にプロンプトの先頭に「/imagine prompt:」をつける必要があるため、この形式で依頼することでスムーズにプロンプトを作成できます。

「Midjourneyに素敵な抽象画アートを作成してもらいたいです。プロンプトを考えてください。先頭に『/imagine prompt:』を付けてください。」

Midjourneyにプロンプトを入力する

Chat GPTで作成したプロンプトを使って、Midjourneyで画像を作成していきます。Midjourneyを利用するには、Discordアカウントが必要です。Midjourneyの公式Discordサーバーに参加し、専用のチャンネルで「/imagine prompt:」を用いたプロンプトを入力することで画像を生成できます。

また、Midjourneyには無料トライアルがあり、一定枚数まで無料で画像を生成することが可能です。ただし、無料トライアルが終了した後は、有料プランへの加入が必要になります。有料プランでは、生成可能な画像の枚数が増え、より多くのオプションや機能を利用することができます。

2024.10.1 追記:
2024年8月22日に正式にWeb版がリリースされ、ユーザーはDiscordアカウントなしで画像を生成できるようになりました。この新しい「Midjourney alpha」では、プロンプトを入力することで簡単に画像を作成でき、設定オプションも豊富です。Web版では、最初の25枚までの画像生成が無料で提供されており、その後は有料プランが必要になります。ユーザーはGoogleアカウントを使用してログインすることも可能です。

さて、それでは先ほどのプロンプトで、Midjourneyで画像を作成したものがこちら。

Midjourneyで作成した画像(1)

4つの画像が生成されました。
既にいい感じなのですが、少し調整を加えていきます。
Caht GPTに「ありがとう!いい感じのものができました!色味を黄緑と黄色を中心にして、もうちょっと筆で描いたようなタッチに変更してほしい」と依頼してみました。新しく作成したプロンプトで作成した画像はこちらです。

Midjourneyで作成した画像(2)

しかし、ちょっと私の希望とズレてしまったので、再度修正します。
Chat GPTには「ちょっとイメージとずれてしまいました。。 色の雰囲気はいいのですが、もっと抽象的なほうがいいです」とリクエストしました。その後、新たに作成されたプロンプトはこちらです。

/imagine prompt: An abstract watercolor artwork featuring lime green and yellow as the dominant colors. The painting should be highly abstract with no recognizable shapes, focusing on the interplay of colors and brushstrokes. The composition should include dynamic splashes, drips, and bold, expressive strokes that create a sense of energy and movement. The blending of colors should be organic and spontaneous, with soft gradients and areas of overlapping hues. The overall impression should be vibrant and abstract, evoking a sense of freedom and fluidity, like sunlight filtering through a canopy of leaves.

そして、このプロンプトで作成された画像がこちら。

Midjourneyで作成した画像(3)

私の理想にかなり近づいてきました!
もうこれでも十分ですが、今度はMidjourneyの中で、バリエーションを作成して、さらに理想に近いものを探っていきます。

気に入った画像のバリエーションを作成する

Midjouneyの中にあるV1、V2…のボタンからそれぞれのバリエーションが作成可能です。迷いましたが、ひとまず V3のボタンで作成してみたところ、私としては望ましいアートが完成しました。(2番目:右上が一番好みです!)

Midjourneyで作成した画像(4)完成!

画像のアップスケールと印刷用データの調整

画像をアップスケールする

Midjourneyで理想的なアートが完成したので、次に行うのは画像のアップスケールです。Midjourneyの生成画像は初期状態では解像度が低いため、印刷に適した高解像度にする必要があります。Midjourney内の「U1」、「U2」、「U3」、「U4」などのアップスケールボタンを使用して、選んだ画像を高解像度にしましょう。例えば、最終的に気に入った画像が4つの中の2番目(左下)であれば「U2」をクリックします。これにより、選んだ画像が詳細に描かれた高解像度のバージョンになります。

次に、印刷に適したサイズに調整します。今回はIKEAの額に上手に収めるために、最終的な印刷サイズを320mmの正方形としましたが、印刷の際に余白部分を考慮する必要があるため、塗り足し部分(上下左右3mmずつ)を含め、326mmの正方形の入稿データをPhotoshopで作成します。以下の手順で進めます。

Photoshopでの調整・入稿データの作成

  1. Photoshopで新規ファイルを作成。その際、W 326mm × H 326mm のカンバスサイズ、解像度を300dpi、カラーモードをCMYKにする。
  2. Midjourneyでアップスケールした画像を配置。アップスケール下画像が縦横目一杯になればそのままでOK。調整が必要な場合は適宜調整。
  3. 画像を統合。

Photoshopで入稿データを作成

これで、印刷通販サービスに入稿するためのデータが完成しました。

印刷通販での発注:デジタルアートに最適な最高級用紙をチョイス!

グラフィックの最高級美術プリント「ジークレー・ド・グラフィック」

Midjourneyでアートを完成させた後、次に行うのは印刷通販での発注です。今回は、せっかく額に入れることもあり、より高品質に仕上げたいと思い、グラフィックの最高級美術プリント「ジークレー・ド・グラフィック」を利用することにしました。世界中から厳選された最高級の素材に、高発色で保存性の高いミュージアム・クオリティのプリントが施されるとのことで、期待が高まります!

出典:https://www.graphic.jp/lineup/giclee

簡単な注文方法

注文方法はとてもシンプルです。ジークレー・ド・グラフィックでは、額装までをセットで行ってくれるサービスも提供されていますが、今回は手元にIKEAの額があったため、プリントのみを単体で注文することにしました。

出典:https://www.graphic.jp/lineup/giclee/service_and_order#order

サイズと用紙選び

まずはサイズを選ぶ必要があったので、

今回は320mmの正方形が収まるA2サイズの変形を選びましたが、システムが自動的にB3サイズがより適していると提案してくれました。こういう細かなサポートがあると、安心して進められますね。

出典:https://www.graphic.jp/price/giclee_print/

次に用紙を選択します。今回は水彩画のような柔らかなイメージだったので、比較的コストパフォーマンスの良い国産ファインアート紙「KAKITA(かきた)」を選びました。

出典:https://www.graphic.jp/price/giclee_print/

RGB印刷が可能

さらに、RGB印刷が可能とのこと!これはデジタルアートとの相性が抜群です。特にAdobe RGBでデータを修正することで、より鮮やかで繊細な色彩表現ができると期待して入稿データも早速修正しました。

出典:https://www.graphic.jp/price/giclee_print/

最終仕様と価格

最終的な仕様は、320mm正方形のRGB印刷、国産ファインアート紙「KAKITA」使用、6日納期で1部 5,130円でした。確かに高級用紙ですが、それだけの価値がある仕上がりを期待しています。入稿方法は、スマートチェック(セルフチェック)を利用しました。

出典:https://www.graphic.jp/price/giclee_print/

商品が到着!

ちょうど6日の納期で、注文した商品がしっかりとした段ボールに梱包されて到着しました。高級な商品だけに、梱包も厳重で安心です。開封してみると、期待通りの仕上がりに感動しました。

厳重な梱包

実際の質感と仕上がり

印刷物を手に取ってみると、一般的なコート紙とは違い、紙の質感や発色が際立っています。特に、インクの発色が素晴らしく、Midjourneyで作成したアートの色合いがそのまま再現されていました。紙自体が持つ高級感とマットな質感が、デジタルアートをさらに引き立てています。

額に入れてみました!

早速、IKEAの額にアートを入れてみました。サイズもぴったりで、部屋のインテリアとしても一気に華やかになります。

 

まとめ

今回、生成AIのMidjourneyで作成したデジタルアートを、グラフィックの「ジークレー・ド・グラフィック」で印刷するプロセスを通して、デジタルアートの美しさを最大限に引き出すことができたのではないかと思います。生成AIと高品質な印刷通販・ネット印刷の技術を組み合わせることで、ただのデジタルプリントではなく、アートとしての完成度が格段に上がったと思います。

実は、私は子供の頃、絵を描くのが比較的得意でしたが、高校生の時に油絵のその難しさに挫折してから、それからずっと絵を描くことをやめてしまっていました。しかし、生成AIを活用した今回のデジタルアート体験では、そんな私でも手軽にアートを楽しむことができ、自分の生活の一部に彩りを自分で添えることができたのは、とても良い経験となりました。

自宅のインテリアにこだわりたい方や、大切な作品を手元に残したい方には、自分だけのデジタルアートを作成して印刷してみるのもおすすめです!