本サイト「印刷通販徹底比較」をご覧いただく方には、個人のデザイナーやイラストレーターなどのクリエイターの方が沢山いると思います。

そんな皆さんは、ご自分のお仕事のPRに自作のポートフォリオを使う際、何に入れて先方に渡しますか? 封筒なやクリアファイルなどに入れて渡すことが多いのではないでしょうか。

こんな時、オリジナルのデザインやイラストを入れたクリアファイルに入れてポートフォリオを渡せば、クリエイターとしての自分の個性のPRにさらに効果的ではないでしょうか?

今回は、そんな個人のクリエイターがPRに使うのにうってつけの、クリアファイル印刷サービスを、個人でも依頼しやすい小ロット(50部)で比較してみました。

※条件は以下の通り
●クリアファイル印刷(A4)
出荷日:3営業日以内発送、部数:50部、カラー:片面4C(+白インキ)

小ロット印刷に対応する印刷通販は意外と少なく、安い価格の印刷通販から3社をピックアップ

今回上の条件で本サイトに登録のある業者を調べてみると、クリアファイルについては、100部以下の小ロットに対応している会社は意外と多くありませんでした。やはり企業の販促物という使い方が、各社の主なターゲットなのでしょうか。

そんな中、現在小ロットでの発注を受け付けている会社から、単純に上の条件で価格が安い会社を順に3社ピックアップすると、結果は以下の通りとなりました(8月15日現在)。

東京カラー印刷:8.600円
プリントパック:11,900円
ウェーブ:13,790円

価格だけで見ると東京カラー印刷が圧倒的に見えてしまうのですが、今回のチェックではその印刷内容が大きく異なり、この差だけでは判断が難しいことが分かりました。では、各社にどんな特長があるのでしょうか?

“出典:https://www.tcpc.co.jp/links/crearFileLd/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E5%8D%B0%E5%88%B7%EF%BC%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%EF%BC%89”

価格面では東京カラー印刷、デザインの自由度ではウェーブ、両者の間のプリントパック

上の通り価格面の比較では東京カラー印刷が一歩抜きん出た印象ですが、印刷仕様を比べると、価格だけではない各社の違いがよりはっきりします。

いずれの会社もカラー印刷(小ロットなのでオンデマンド)をうたっていますが、東京カラー印刷とプリントパックは4C、ウェーブは4C+白インキと、まずは印刷の仕様が異なります。クリアファイルは紙への印刷と違って透明なPPの上に印刷するので、DTPソフト上の色が白=CMYK値が0%の部分は白ではなく、何も印刷されません。また、透明の上に通常の4Cのインキで印刷すると、絵柄が半透明になってしまい、色の再現性もやや悪くなってしまいます。このため、クリアファイル印刷の場合は通常の4Cに加えて白インキをさらにを用います。

東京カラー印刷とプリントパックは、この白インキを省いています。ただし、東京カラー印刷は全面が透明か白色のクリアファイル(やや言葉に矛盾がありますが、笑)も選択でき、プリントパックがベースとして使用するクリアファイルは、半分(表表紙側)が白く、半分(裏表紙側)が透明のものを使用しているので、白インキに近い色を表現することができます。

“出典:http://www.printpac.co.jp/contents/lineup/clearfile_c/index.html”

これに対して、ウェーブは白インキを使用するので、色の再現性の心配は必要ありません。また、プリントパックでは表表紙側全体が白であるのに対し、ウェーブは白インキ用の版を用いて絵柄の下だけに白を印刷することができるので、例えば文字や絵の輪郭の外側を透明に、絵柄の下は白にといったような、デザインの自由度も広いのが特長です。

“出典:https://www.wave-inc.co.jp/products/clearfile/ondemand.html”

このように、印刷の仕様を見てみると、価格の違いもはっきり理解できます。このような特長の違いを押さえつつ、利用する会社を検討してみるといいでしょう。

一番価格の安い東京カラー印刷で1枚あたりの単価が172円。クリアファイルならば日常的に使ってもらう機会も多いので、印象に残る宣伝費としてはそれほど高くはないのではないでしょうか?

クリアファイル印刷は、白版のデータ作りに注意する

最後に、クリアファイル印刷発注の際の注意をひとつ。

ウェーブのように白インキ版を用いる印刷の場合、白インキ版のためのパスデータを自分で用意する必要があります。この場合、多くの印刷会社ではIllustaratorでの入稿を推奨しており、4Cのレイアウトのレイヤーとは別に、白インキ版用のレイヤーに別途白インキ用のレイアウトを作成する場合が多いようです。これを忘れるとデータチェックではねられて余計な時間を要することになります。こちらの仕様に関しては、各社のテンプレート内の説明や、データ作成マニュアルでしっかりと確認して、間違いのないデータを作成するように気をつけましょう。

(執筆者:will be will be ヤナギダヒロユキ)