おとなり台湾の印刷通販事情 Vol.1 「台湾進出にチャンスはあるのか-台湾市場動向を見る-」
2013年11月19日
おとなり台湾の印刷通販事情
「台湾の印刷産業市場は?」
「台湾で需要のある印刷物って!?」
「台湾の印刷通販の仕組みってどうなってるの?」
本記事はこのような疑問を下記項目で全10回にわたり「台湾の印刷通販市場」を解説していきます。
■印刷産業市場とその特徴
■商習慣から見た印刷需要
■よく検索される印刷通販関連キーワード
■検索上位に出てくる印刷通販会社とその特徴
■印刷通販関連キーワードにおける検索ボリューム・クリック単価
■印刷通販企業のweb戦略
■日本・台湾 印刷通販の値段比較
■台湾にある外資系印刷通販企業
■台湾発の印刷クラウドサービス YouPrint 徹底解剖
※連載中一部掲載内容変更の可能性がございます。
台湾進出を考える企業様、もっとアジアを知り、アジアでビジネスを始めたい経営者・ビジネスマンの方必見になっています。
この記事で、海外進出をお考えの方に役に立つ情報を発信できれば・ビジネスの視野が少しでもアジア・台湾にも向けられればと思います。
今週の記事では、台湾経済の概要、印刷通販には欠かせない通信利用動向、進出のための現地法人設立について掲載しています。
台湾とは?
アジア大陸の東南沿岸に位置し、日本からは観光地として人気が高い国のひとつである台湾。
人口2332万人(2012年時点|日本は同時点で1億2639万人)、2012年時点の実質GDP成長率1.32%、国土面積3万6,190km2(九州と同程度の面積)、鴻海精密工業やASUSなど世界的競争力のある企業が軒を連ねる小さな島国です。
台湾の通信利用動向
印刷通販に欠かせないのはインターネットです。では、台湾のインターネットやスマートフォンの普及率はどの程度あるのでしょうか。
インターネット普及率は、日本の79.1%とほぼ変わらない約73%と高い数値を出しています。(引用|総務省通信利用動向調査 / 台灣網路資訊中心)
Googleのスマートフォン利用に関する大規模調査「Our Mobile Planet(2013)」によるとスマートフォン普及率は日本では24.7%ととても低い数値になっています。対して、台湾は50.7%と世界的に見ても高水準な普及率になっています。
このように、総人口こそは少ないもののインターネットを使う印刷通販事業にとってはネットリテラシーの高いユーザーが多い良好な環境になっています。
また、余談にはなりますが、facebook利用率も台湾は高く人口比57.3%(ユーザー数:約1,300万人[2012.12時点])になっており、日本のユーザー数1,700万人(人口比13.5%[2012.12時点])に差し迫る状態になっています。
台湾の現地法人設立と優遇制度
日本貿易振興機構(JETRO)によると、2001年11月の会社法改正に伴い、設立に要する発起人の数が従来の7名以上から1社(法人株主)から2人(個人)以上に改められました。さらに、株主が外国人(台湾国籍外)の場合には非居住者でもよく、外国株主が100%保有することも可能です。
また台湾では産業全体の発展とイノベーション推進のために、租税優遇・低金利融資等の法整備がされており、日台間の企業連携を強めるために「台日産業合作搭橋方案(台日産業連携架け橋プロジェクト)」と称し、様々な施策が行われてます。
以下日本貿易振興機構(JETRO)より引用
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1. ゴールデンアジアファンド
日本、台湾間でビジネス連携を志向するベンチャー企業への投資を行うファンドとして、三菱UFJキャピタル株式会社および創新工業技術移転股フェン有限公司(Industrial Technology Investment Corporation, ITIC)の間で「ゴールデンアジアファンド」が設立された。
【参考】三菱UFJキャピタル株式会社 プレスリリース
https://www.mucap.co.jp/Portals/0/images/data0/r_concept2/20111012_release.pdf (日本語)
2. 台日産業イノベーションパーク(TJパーク)
日本企業の海外補給基地として活用してもらうことを目的に、台南科技工業区内に日本企業や日台合弁企業向けの用地が確保され、2012年1月より入居受付が始まっている。また、同区内では、経済部工業局が工業区を指定して適用している土地リース・売却の優遇措置(006688措置、工業区土地市価化優遇方案)(注)が適用される。
TJパークの入居者資格
(1) 日本企業(台湾にいる日本企業を含む)および日本資本を有する台湾企業
(2) 日本産業と以下の提携関係を有する台湾企業
・事業経営:投資、合弁、出資、買収
・研究開発・設計:研究発展、工場開発、技術移転、クロスライセンス、IPトレード、製品設計、コンテンツ創作、肖像権授権
・生産:委託設計および生産、委託生産、部品供給
・マーケティング:ブランド、プラント輸出、市場開拓、販路、物流、代理販売
(注)経済部工業局「006688措置」
措置名006688の如く、1年目および2年目の賃料は免除、3年目および4年目は企業が6割、5年目および6年目は企業が8割を負担する優遇措置である。
経済部工業局「工業区土地市価化優遇方案」
工業区の入居を促進するために、企業が割引価格で工業区の土地を購入できる優遇措置である。
【参考】ジャパンデスク 台湾投資通信
https://www.japandesk.com.tw/pdffile/198all.pdf?(日本語)
台南科技工業区
https://sv6306.ceci.com.tw/ttip/?(中国語、英語、日本語)
南部科学工業園区
https://www.stsipa.gov.tw/web/indexGroups?frontTarget=DEFAULT?(中国語、英語、日本語)
経済部 プレスリリース
https://www.moea.gov.tw/Mns/populace/news/News.aspx?kind=2&menu_id=41&news_id=24412?(中国語)
経済部工業局「006688措置」
3. 台日産業合作推動弁公室(台日産業連携推進オフィス)
台日産業合作推動弁公室(台日産業連携推進オフィス)は2012年3月21日に正式に設立され、その主な任務は以下のとおりである。
(1) 単一の窓口をもって、日本産業との交流・提携作業の統合、政府部門間の調整を進める
(2) 日台間産業提携戦略の策定、重点発展産業の選択且つ推進活動の統合を行う
(3) 日台間産業提携案件の開拓、個別案件の相談や媒介等の全面的サポートを提供する
(4) 行政院台日産業連携架け橋プロジェクトおよび経済部台日産業連携推進チームの幕僚を務める
(5) その他行政院および経済部が推進する日台産業提携関連業務を執行する
なお、台日産業連携推進オフィスはさらに以下の3部門に分けられ、それぞれの担当は以下のとおりである。
(1) 総合サービス課:上記任務(1)(2)(4)を中心として、さらにデータベースの構築や日台産業提携の広報活動、日本での日台産業提携セミナーの開催等を行う
(2) 企業プロジェクト課:上記任務(3)を中心として、さらに日台間中小企業の提携、資金調達サポートの提供や台湾における日本企業間の交流活動の開催等を行う
(3) Japan Window:日本での相談窓口であり、産業提携活動をサポートし、個別案件の連絡事務を担当する
【参考】台日産業連携推進オフィス(TJPO)
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このように年々台湾への企業進出の法整備や環境は整ってきています。
国として日本企業の誘致を行っている台湾は海外ビジネスの一手目として最適だと思われます。
次回は日本・台湾の印刷産業市場について解説します。