おとなり台湾の印刷通販事情 Vol.2            「台湾印刷産業市場 -日本の印刷産業市場から考える-」

2013年11月24日

日本の印刷産業市場

今回は台湾の印刷産業全体の構造を解説します。

まず、日本の印刷産業市場はどのようになっているのでしょうか。
通常であれば経済活動・人口増加に伴い、印刷需要は高まる傾向にあります。しかし、デジタル技術の進歩により、その構造に変化が起きています。
JAGATによると、日本の印刷産業市場は年々減少しており、2020年までには現在の印刷産業規模5兆7087億円から下位予想で4兆円弱まで縮小すると言われています。現に1990年まで順調に伸び続けてきた印刷産業出荷額8兆9287億円は現在までに37%減になっています。

 

大きく伸びる印刷通販市場

 印刷産業全体が縮小しているとはいっても、まだまだ大きな市場です。その中で大きく市場を伸ばしているのが所謂「印刷通販」と呼ばれる分野です。印刷通販とはフライヤー・ポストカード・名刺等の印刷物をweb上で注文することが可能な事業です。

 矢野経済研究所によると(2013年11月7日発表)、2012年度の印刷通販市場は489億7200万円で、驚異の前年度比19.7%増になっています。さらに、2013年度の予測では543億9000万円とされており、2018年度までの予測平均成長率は11.1%となっています。現在は新規参入増加により、印刷物の「低価格競争」が進んではいるが、これから非常に大きな市場になると考えられます。

 

台湾の印刷産業市場

 では、台湾ではどうなっているのでしょうか。
台湾の印刷産業は日本とは対照的に市場を拡大させています。
以下は印研中心/台灣經濟研究院 財政部のデータです。

【2007年】
企業・メーカー数 6819
総生産額   701億台湾ドル(2,350億円)

【2012年】
企業・メーカー数 7567
総生産額   722億台湾ドル(2,430億円)
※1台湾ドル=3.36円

 企業数・市場規模は伸びているものの、一つ当たりの工場の稼働率は減少し、過当競争に入っているのが現状です。印研中心與工業局では、2020年までに国内・輸出により、印刷産業の市場規模を24%増で拡大させていく方針を見せています。しかし、デジタル化が進む昨今でその目標が達成できるかは疑問視されている状態です。

台湾では日本と似たような「印刷通販」のサイトがあり、「web to print」「雲端印刷網 (クラウド印刷)」と称されています。

 代表的な印刷通販サイトとしては、
「永豐雲端印刷網(http://www.cloudw2p.com/site/index.php)」
「YouPrint(http://www.youprint.com.tw/Default.aspx)」
「健豪(http://www.gding.com.tw/)」等があります。

台湾「永豐雲端印刷網」webサイト

taiwan_print1

 

 残念ながら印刷通販自体の市場を把握できる公式なデータはまだありませんが、印刷産業全体の動向から日本同様に印刷通販市場はまだまだ大きく伸びると考えられます。

 市場規模自体は小さいですが、産業自体が発展している台湾では「印刷通販」は大きな期待がありそうです。

<執筆者>大石弘務(おおいし ひろむ)
1990年生まれ。box LLC. CEO&Founder 自社webサービス開発・運営を行う熊本のIT企業の代表を務める。30歳未満に限定した異業種交流会「コレカラ」の発起・運営を行う。また台湾のマーケット調査を行い、日本・台湾相互間の企業進出サポートを行う。

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